「うちの現場の◯◯が、前職の後輩を紹介したいと言っています」——社員からそんな話が上がってきたとき、多くの会社はほっとします。素性が分かっていて、仕事内容も社員の口から伝わっている。広告費もかからない。うまくいく前提で話が進みやすいルートです。

ところが実際には、この紹介ルートでこそ「連絡が止まる」「気づいたら他社に決まっていた」ということが起きます。理由ははっきりしていて、会社が候補者本人と直接つながっていないまま、紹介者という中継地点を挟んで話を進めてしまうからです。身内だから大丈夫、という感覚が、対応をいちばん雑にします。

紹介ルートで抜けやすいのは「会社からの正式な連絡」

求人媒体からの応募であれば、通知が届き、担当者が電話をかけ、日程を調整する、という一連の流れが決まっています。ところが紹介の場合、最初の接触が「社員の雑談」から始まるため、そもそも応募として記録されないことがあります。

よくあるのは、こんな進み方です。社員が候補者に「今度うちの社長と会ってみない?」と声をかける。候補者は「いいですね」と答える。社員が社長に「乗り気みたいです」と伝える。社長は「じゃあ調整して」と返す。——ここまでで、会社は候補者本人に一度も連絡していません。

候補者側から見ると、この時間は「知り合いから誘われたが、会社からは何も言われていない」状態です。応募したという実感がないので、他社の選考が進めばそちらが優先されます。紹介者との人間関係があるぶん断りづらく、静かにフェードアウトすることもあります。

紹介であっても、会社として候補者本人に連絡を入れる。ここが起点です。速さの重要性は媒体応募と変わりません(応募後1時間以内の初回連絡が、採用の歩留まりを変える理由)。むしろ、紹介者の顔を立てる意味でも、会社からの一報は早いほうが望ましいと言えます。

紹介者に任せてよいこと、会社が引き取ること

紹介者は候補者にとって信頼できる情報源ですが、選考の当事者ではありません。役割を分けておくと、双方が動きやすくなります。

場面紹介者に任せてよいこと会社が引き取ること
きっかけづくり仕事内容や職場の雰囲気を率直に話す—
応募の受付「連絡先を会社に伝えてよいか」の確認本人への初回連絡・応募としての記録
日程調整—候補日の提示、確定連絡、リマインド
条件の説明体感としての働き方を伝える給与・シフト・雇用形態の正式な提示
合否連絡—本人への直接連絡

特に、条件面を紹介者経由で伝えるのは避けたいところです。悪気なく「残業はほぼないよ」と言った内容と、面接で提示した内容がずれると、条件そのものより信頼が損なわれます。紹介者は「雰囲気」を語り、会社は「事実」を伝える、という分担にしておくと安全です。

紹介者への進捗共有は、頻度より「節目」で決める

紹介した社員は、口には出さなくても気にしています。自分が声をかけた人がどう扱われているかは、その社員自身の会社への信頼にも直結します。

とはいえ、逐一報告する必要はありません。共有するのは次の3つの節目で十分なことが多いです。

内容も「進んでいます」「結果が出ました」程度で構いません。むしろ、面接で候補者が話した内容を紹介者に詳しく共有するのは、候補者の信頼を損ねます。共有するのはプロセスであって、中身ではない、と線を引いておきます。

逆に、いちばん避けたいのは「何も言わないまま数週間が過ぎる」ことです。紹介者は候補者から「あれからどうなってる?」と聞かれる立場にあり、答えられないと板挟みになります。次から紹介してくれなくなる原因は、たいていここにあります。

不採用のとき、社内の関係をどう守るか

紹介ルートで最も気を遣うのが、見送りの場面です。ここを曖昧にしたまま放置すると、候補者・紹介者の両方を失います。

伝える順番は、候補者本人が先、紹介者は後です。紹介者から先に本人へ伝わってしまうと、会社が正面から向き合わなかったという印象が残ります。本人への連絡は、媒体応募の場合と同じ形式で、期日を守って出します(不採用者への対応が、会社の評判をつくる)。

紹介者への伝え方では、次の点を意識しておくと関係が保ちやすくなります。

紹介者は、断られたことより「粗末に扱われた」と感じることを嫌います。逆に、丁寧に見送られた経験は「あの会社はちゃんとしている」という社内評価につながります。

紹介ルートも、同じフローに乗せてしまう

結論としておすすめしているのは、紹介だからと特別扱いせず、通常の応募対応フローにそのまま乗せることです。

やることは媒体応募と何も変わりません。変わるのは「紹介者への節目連絡」が1本増えるだけです。この1本を足すだけで、紹介ルートは特別な運用ではなくなります。自社のフローがそもそも整理できていない場合は、応募対応チェックリスト。中小企業が取りこぼしを防ぐ10項目から点検してみてください。

紹介は、候補者体験の差がそのまま社内に伝わるルートです。仮に、丁寧に対応された紹介者が年に1人ずつ次の人を連れてくるとすれば、対応の質はそのまま次の母集団に跳ね返ります。逆もまた同じです。

とはいえ、日々の業務のなかで「紹介の話が出た日にすぐ本人へ連絡する」「節目ごとに紹介者へ一報を入れる」を安定して回すのは、兼務担当にとって簡単なことではありません。社外採用部では、応募の受付から初回連絡、日程調整、面接前後のフォロー、内定・入社フォローまでを採用事務局として代行しています。紹介ルートも同じフローに乗せて記録し、抜けが出ないよう運用を組み立てます。料金は月額49,800円〜、初回に設計費100,000円をいただき、以降は支援内容・工数に合わせて個別にお見積りします。

「せっかくの紹介を、対応の遅れで無駄にしたくない」という段階でしたら、いまの進め方をお聞かせください。責任者の佐々木がご相談を承ります。お問い合わせはこちらから、現状のままでどこに抜けが出やすいかを一緒に見ていきましょう。