採用外注の検討が進むと、多くの会社は月額いくらかという比較に時間を使います。ところが実際に困るのは、始めたあとです。想定より応募が少なかった月に契約が続いている、いったん止めたいのに申し出の時期を過ぎている、解約したら候補者とのやり取りの記録が手元に残らなかった——こうした話は、料金表ではなく契約条件の欄に書かれています。
この記事では、料金の比較はいったん脇に置き、契約条件だけに絞って整理します。見積書と契約書(業務委託契約書)のどこを見ればよいか、という形でまとめましたので、提案を受け取った状態のまま読み進めていただけます。料金体系そのものの読み方は月額固定と従量課金。採用外注の料金体系をどう読むかで扱っていますので、あわせてご覧ください。
契約書で確認したいのは、この5項目
採用外注の契約で後から問題になりやすいのは、おおむね次の5つに集約されます。まず一覧で押さえてください。
| 確認項目 | どこに書かれているか | 見るポイント |
|---|---|---|
| 最低契約期間 | 契約書の「契約期間」条項/見積書の備考欄 | 何ヶ月縛りか。自動更新の有無と更新単位 |
| 初期設計費の扱い | 見積書の明細/契約書の「委託料」条項 | 何に対する費用か。途中解約時に返還されるか |
| 解約予告の日数 | 契約書の「解約」「中途解約」条項 | 何日前・何ヶ月前か。書面が必要か |
| 業務範囲の変更手続き | 契約書の「委託業務の内容」+別紙/仕様書 | 範囲外作業の判断と追加費用の決め方 |
| 記録・テンプレートの返却 | 契約書の「契約終了後の措置」「秘密保持」条項 | 何を、どの形式で、いつまでに受け取れるか |
ポイントは、5項目のうち3つが見積書には載らないということです。見積書だけを並べて比較している段階では、条件の差はほとんど見えません。契約書のひな形を先に見せてもらえるかどうか自体が、一つの判断材料になります。
最低契約期間と解約予告は、掛け算で読む
最低契約期間が6ヶ月、解約予告が2ヶ月前、という契約は珍しくありません。このとき、実際に払う可能性のある最短総額は「6ヶ月分」ではなく、更新のタイミングによってはもっと長くなります。自動更新が1年単位で、更新日の2ヶ月前までに申し出なければ次の1年に入る、という設計であれば、申し出が1日遅れただけで負担が大きく変わります。
確認したいのは次の3点です。必ず契約書の文面で確かめてください。口頭で「いつでも止められますよ」と言われても、契約書に期間の定めがあればそちらが優先されます。
- 最低契約期間は何ヶ月か。その期間中の中途解約は可能か、可能なら違約金はあるか
- 更新は自動更新か、都度合意か。自動更新なら更新単位は1ヶ月か1年か
- 解約予告は「何日前」か。起算日は申出日か、書面到達日か
仮の数字で考えてみます。月額5万円、最低6ヶ月、解約予告2ヶ月前という条件なら、3ヶ月目に止めたいと判断しても、実際には最低6ヶ月分の30万円は前提として見込んでおく必要があります。この金額を、試してみる費用として許容できるかどうか。そこが最初の判断です。
ちなみに社外採用部の場合は、月額49,800円からの月次のご契約で、初回設計費100,000円を最初にいただく形をとっています。期間の考え方は会社ごとに事情が違いますので、ご検討の段階で率直にお尋ねください。
初期設計費と、業務範囲を変えるときの手続き
初期設計費(初期費用、導入費などと呼ばれます)は、何に対する対価なのかを言葉で説明してもらってください。連絡テンプレートの作成、応募受付の導線設計、判断基準のすり合わせなど、成果物がはっきりしているほど、解約時に何が手元に残るかも明確になります。逆に「導入事務手数料」としか書かれていない場合は、短期で終えたときに何も残らないことがあります。
そしてもう一つ、見落とされやすいのが業務範囲の変更手続きです。採用の実務は、始まってから形が変わります。最初は初回連絡と日程調整だけのつもりが、面接前のリマインドや内定後のフォローまで頼みたくなる。逆に、繁忙期を越えたら範囲を絞りたくなることもあります。
- 業務範囲は別紙や仕様書として切り出されているか(本文に埋め込まれていると変更のたびに契約書を巻き直すことになります)
- 範囲外の作業が発生したとき、着手前に見積もりが出るか。誰の承認で進むのか
- 範囲を縮小する場合、月額は下がるのか。下げられる下限はあるか
ここが曖昧なままだと、請求書を見て初めて追加分に気づくということが起きます。自社の業務のどこを外に出すかという線引きそのものは、採用担当の業務を全部書き出してみる。内製と外注の分け方で整理していますので、範囲を決める前の材料にしてください。
終わったとき、何が手元に残るか
契約期間よりも影響が長く残るのが、終了時の取り扱いです。応募対応を外に出している間、候補者とのやり取り、使った文面、見送り理由の記録は外注先側に溜まっていきます。これが戻ってこないと、社内に戻したときにゼロからやり直すことになります。
契約書の「契約終了後の措置」を見て、次を確認してください。
- 連絡履歴・応募者一覧は、どの形式で(CSVやスプレッドシートなど)受け取れるか
- 作成した連絡テンプレートや対応手順の著作権・利用権は、終了後も自社で使えるか
- 個人情報は、返却か削除か。削除の場合は完了報告がもらえるか
- 引き渡しの期限は、契約終了から何日以内か
なお、返却と削除は目的が違います。自社で採用を続けるなら、応募者情報は個人情報保護の観点から適切に扱う前提で引き継ぎ、テンプレートや手順は自社の資産として残す、という整理になります。委託先に個人情報を渡すこと自体の考え方は応募者の個人情報、どこまで社外に出していいのかに、社内に戻す判断そのものは応募対応の外注は、いつ社内に戻すのか。卒業の判断基準にまとめてあります。
短期で試したい会社が、契約前に送る質問文例
「まず数ヶ月やってみて、合わなければ戻したい」というご相談はよくいただきます。その場合、商談の場で口頭で聞くよりも、メールで質問して文字で回答をもらうほうが確実です。そのまま使える形にしておきます。
ご提案ありがとうございました。社内で検討するにあたり、契約条件について5点確認させてください。
- 最低契約期間と、期間中に中途解約する場合の条件(違約金の有無)をご教示ください。
- 契約の更新は自動更新でしょうか。更新単位と、更新しない場合の申し出期限をお願いします。
- 解約予告は何日前まで、どのような方法(書面・メール等)で必要でしょうか。
- 初回設計費に含まれる成果物と、短期間で終了した場合の取り扱いをお聞かせください。
- 契約終了時に、応募者の連絡履歴・作成いただいた連絡テンプレートを当社へ引き渡していただけますか。形式と期限もあわせてお願いします。
この5問に文字で答えてもらえるかどうかで、相手の姿勢はかなり見えます。回答が早く、条件が不利な部分も含めて書いてくる会社は、実務でも同じ対応をすることが多いものです。不安の整理という点では採用を外注するのが不安な社長へ。失敗しない任せ方もあわせてお読みください。
契約条件は、うまくいかなかったときのために確認するものです。裏を返せば、ここを詰めておくと、思い切って任せて試すことがしやすくなります。
社外採用部では、応募の受付から初回連絡、日程調整、面接前後のフォロー、内定・入社のフォローまでを採用事務局としてお引き受けしています。契約条件や範囲の線引きについても、責任者の佐々木がご事情を伺ったうえで率直にお答えします。ご検討の段階でかまいませんので、お問い合わせからお気軽にご相談ください。
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