応募が来ても手が回らない。そんなとき、月に数万円から使えるオンラインアシスタントや秘書代行サービスが候補に挙がることがあります。すでにバックオフィスの一部を任せている会社であれば、「ついでに採用の連絡もお願いできないか」と考えるのはごく自然な発想です。
結論から言えば、頼める作業と頼みきれない作業がはっきり分かれます。分かれ目は難易度ではなく、その作業を指示書に落とし切れるかどうかです。この記事では、どこまでを任せられて、どこから先が自社に残るのかを整理します。
オンラインアシスタントが得意なのは「定型化できる作業」
オンラインアシスタントや秘書代行は、リモートのスタッフが事務作業を時間単位で請け負うサービスです。メール文面の送信、スプレッドシートへの入力、カレンダー登録、資料作成といった、手順が決まっている作業を得意としています。
採用まわりで言えば、次のような作業は十分に成立します。
- 応募者リストへの情報入力(応募日時・媒体・氏名・連絡先)
- あらかじめ用意した文面での応募受付メール送信
- 面接日程が確定したあとのカレンダー登録と案内メール送信
- 前日リマインドメールの定時送信
- 不採用連絡の定型文送信
いずれも「いつ」「誰に」「どの文面を」が事前に決まっていれば、判断を挟まずに実行できる作業です。実際、面接前日のリマインドや記録の入力は、手順さえ書き出せば誰が担当しても品質が揃いやすい領域です。この部分だけでも切り出せれば、社内の負担はそれなりに軽くなります。
文面のひな形が手元にない場合は、まず応募対応マニュアルの作り方。1日で書ける最小構成を参考に、任せる範囲だけでも手順を紙に起こしておくと依頼がスムーズになります。
落とし切れないのは、採用特有の「判断」
問題は、応募対応の実務が定型作業だけで構成されていないことです。
たとえば応募者に電話をかけて出なかったとき。もう一度かけ直すのか、SMSに切り替えるのか、何時間空けるのか、夜の何時までなら許容されるのか。これは応募職種、応募者の年齢層、応募時刻、媒体によって変わります。詳しくは応募者に電話がつながらない。SMS・メールを組み合わせた連絡の順番で整理していますが、こうした分岐を漏れなく指示書に書き切ろうとすると、条件分岐だらけのマニュアルができあがります。
もうひとつが、候補者の温度感の判断です。電話口で「ちょっと考えます」と言われたとき、それが前向きな保留なのか、実質的な辞退なのか。声の間や質問の量から読み取り、その場で面接日を軽く提示するか、一度引いて翌日連絡するかを選ぶ。この判断は言語化しづらく、「丁寧に対応してください」という指示に置き換わってしまいがちです。
面接枠の押さえ方も同じです。社長や現場責任者の予定を見て、どの枠なら無理なく確保できるか、どこまでなら強引に頼んでよいか。社内の力関係や繁忙の事情を知らない外部スタッフには踏み込みにくい領域です(面接枠が取れない。現場が忙しい会社の面接枠の作り方)。
依頼できる作業・できない作業の一覧
工程ごとに整理すると、こうなります。
| 工程 | オンラインアシスタント | 事務局型(社外採用部) |
|---|---|---|
| 応募情報の記録・入力 | 頼める | 頼める |
| 受付メールの定型送信 | 頼める | 頼める |
| 応募直後の電話での初回接触 | 条件付き(電話対応の可否はプランによる) | 頼める |
| つながらないときの追いかけ判断 | 指示書に落としにくい | 頼める |
| 候補者の温度感の見極め | 難しい | 頼める |
| 面接候補日の提示・確定 | 枠が決まっていれば頼める | 頼める |
| 面接枠の社内確保・催促 | 難しい | 頼める |
| 面接前後のフォロー連絡 | 定型文の送信まで | 内容判断まで含めて頼める |
| 内定・入社前のフォロー | 難しい | 頼める |
「難しい」と書いた行は、外部に任せられないという意味ではなく、指示書の形にして渡すコストが高いという意味です。指示を出す側が採用の実務に明るく、毎回の判断を自分で下せるのであれば、実行部分だけをアシスタントに任せる形は成立します。
選び分けの基準は「指示コストを誰が払うか」
選択の分かれ目は、費用の絶対額ではありません。指示を出す時間を誰がどれだけ負担するか、です。
仮の数字で考えてみます。月の応募が10件、1件あたりアシスタントへの指示・確認のやりとりに15分かかるとすると、月2.5時間。これは社内の誰かの時間です。しかも、その誰かは採用の判断ができる人でなければなりません。つまり社長か、採用を兼務している総務責任者です。応募対応の作業は減っても、判断と指示の負荷は残ります。
一方、採用事務局型のサービスは、判断基準そのものを最初に設計して引き取ります。社外採用部で初回設計費(100,000円)をいただいているのは、この基準づくりに時間をかけるためです。連絡の順番、追いかけの上限、面接枠の押さえ方、どこから社内に判断を戻すかを決め、その後は月額49,800円〜で運用していきます。毎回の指示は不要になり、社長には面接と最終判断が残ります。
判断の目安をまとめると、次のようになります。
- オンラインアシスタントが向く会社:採用の判断ができる人が社内におり、その人の時間がまだ確保できる。詰まっているのは入力・送信といった手の作業
- 事務局型が向く会社:判断できる人が社長しかおらず、その社長の時間が最も足りない。詰まっているのは電話の追いかけや温度感の見極め
なお、知人の元人事に業務委託で頼む選択肢とも性格が異なります。こちらは判断まで任せられる代わりに属人化しやすく、その比較は人事経験者に業務委託で頼む場合と、事務局に任せる場合の違いにまとめています。
まず、任せたい作業を書き出してみる
どちらが合うかを机上で比べるより、直近1ヶ月の応募対応で発生した作業を書き出すほうが早道です。書き出したうえで、「手順を紙に書けばそのまま渡せるもの」と「その場で考えて決めたもの」の2つに色分けしてみてください。前者が多ければオンラインアシスタントで足りますし、後者が多ければ指示を出し続ける負担のほうが重くのしかかります。
社外採用部は、求人・媒体・スカウトなど母集団形成の運用から、応募の受付、初回連絡、日程調整、面接前後のフォロー、内定・入社フォローまで、面接以外の採用実務を判断基準ごと引き取る採用事務局です。面接そのものと採否の判断は御社が行います。
自社の作業を色分けしてみて、後者が思ったより多かった方は、一度お問い合わせからご相談ください。佐々木が現在の応募件数と対応の流れをうかがったうえで、どこまで外に出せるかを一緒に整理します。
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