面接の日程が決まったあと、候補者から一通のメールが届く。「残業は月にどのくらいありますか」「土曜出勤はどの程度でしょうか」「配属先はもう決まっていますか」。答えようと思えば答えられるけれど、正確なところは現場に聞かないと分からない。そう思って確認を回したまま、気づけば三日が過ぎている――このやりとり、心当たりのある方は多いのではないでしょうか。
やっかいなのは、候補者にとってこの三日間が「返事が来ない三日間」でしかないことです。社内で確認が進んでいることは相手には見えません。そして質問を送ってくる候補者ほど、その会社を真剣に検討しています。返信の遅れが、いちばん熱量の高い人から順に温度を下げていく。ここでは、質問メールにどこまで即答し、答えられないものをどう扱うかを整理します。
質問が来るのは、迷っている証拠
まず前提として、面接前に質問を送ってくる候補者は、多くの場合すでに他社の選考も並行して進めています。わざわざ文面を考えて送ってくるのは、「この会社に決めてよいかを判断するための材料が足りない」と感じているからです。
つまり質問メールは、クレームでも面倒な問い合わせでもなく、検討が前に進んでいるサインです。ここで丁寧に応じれば志望度は上がりますし、放置すれば「入社後もこういう会社なのだろう」という印象だけが残ります。面接前の空白期間に何が起きるかについては、「とりあえず面接に来てもらう」が失敗するとき。面接前フォローの意味でも触れていますが、質問への返信の遅れは、その空白をいちばん悪い形で広げてしまいます。
即答してよい項目と、確認が必要な項目を先に分ける
対応が遅れる会社と速い会社の違いは、返信を書く速さではありません。「この質問は自分の判断で答えてよいのか」を毎回ゼロから考えているかどうかです。ここを事前に分けておくだけで、初動はかなり変わります。
分け方の目安は次の通りです。自社の状況に合わせて調整してください。
| 区分 | 該当する質問の例 | 対応 |
|---|---|---|
| そのまま即答してよい | 求人票に書いてある内容(給与レンジ、勤務地、休日日数、選考の流れ、面接時間・持ち物) | 求人票の記載をそのまま引用して返す |
| 事実として即答してよい | 制度の有無(社会保険、退職金制度、資格取得支援の有無、マイカー通勤の可否) | 「ある/ない」を明言する |
| 確認が必要 | 実態を含む数字(直近の平均残業時間、有給の取得状況、部署ごとの繁忙期) | 一次返信で受領を伝え、回答期日を示す |
| 確認が必要 | 個別判断が絡むもの(配属先、入社日、給与の具体額、シフトの個別調整) | 一次返信+面接で直接話す旨を伝える |
ポイントは、いちばん上の二つを「担当者がその場で返してよい」と社内で決めておくことです。求人票に書いてあることまで社長の確認待ちにしていると、簡単な質問への返信が丸一日止まります。
そして下の二つについては、「答えを出す」のではなく「いつ答えるかを返す」。ここが分かれ目です。
当日中に返す一次返信の型
確認が必要な質問でも、その日のうちに一通は返します。中身は回答そのものではなく、受け取ったこと・確認していること・いつ答えるかの三点で構いません。
以下は文例です。自社の言い回しに合わせて手を入れてお使いください。
○○様
お問い合わせいただきありがとうございます。採用担当の△△です。
いただいたご質問のうち、休日日数については求人票の通り年間○○日、土曜は月○回の出勤となります。
残業時間の実績につきましては、配属予定部署の直近の状況を確認のうえ、○月○日(○)中にあらためてご連絡いたします。正確な数字でお伝えしたいため、少しお時間をいただけますと幸いです。
その他、気になる点がございましたらお気軽にご返信ください。面接当日にも詳しくご説明いたします。
やっていることは単純で、答えられる部分は先に答え、答えられない部分は期日を切る。それだけです。「確認しております」だけで期日がないと、候補者は待つべきか判断できず、待っている間に他社の面接が入ります。
期日は、無理のない範囲で具体的な日付を入れてください。「近日中」「追ってご連絡」は、候補者からするとほぼ「返事なし」と同じ扱いになります。そして示した期日は必ず守ってください。間に合わない場合でも、その日のうちに「もう一日いただきたい」と連絡を入れる。期日を切って守る、という一往復そのものが、会社の信頼の証明になります。
ごまかした答えは、条件そのものより効く
答えにくい質問ほど、やんわりぼかしたくなります。「残業はそれほど多くありません」「有給は取りやすい環境です」。気持ちは分かりますが、この書き方は入社後にほぼ確実に食い違いが露見します。そして候補者は、条件が厳しかったこと以上に「聞いたのに正確に教えてもらえなかった」という点を記憶します。
たとえば、繁忙期は月40時間ほどの残業が発生する職場だとします(仮の数字です)。これを「多くありません」と伝えて入社した人は、最初の繁忙期で辞める判断に傾きやすくなります。一方「通常期は月10時間前後ですが、○月〜○月は40時間程度になる月もあります。その分手当は全額支給しています」と伝えた場合、納得して入る人だけが残ります。応募数は減るかもしれませんが、選考後半での辞退と早期離職は減りやすい。どちらが採用コストとして安いかは、求人票と面接での説明がずれると、辞退されるでも整理しています。
まだ決まっていないことは「決まっていない」と書いて構いません。「配属先は面接での適性を踏まえて決定するため、現時点では確定しておりません。候補としては○○部と○○部です」。候補者が困るのは不確定なことではなく、不確定なのに確定しているかのように言われることです。
答えの中身を、担当者ごとにばらつかせない
同じ質問に、社長と総務担当が違う答えを返している。これは中小企業では珍しくありません。候補者が面接で聞いた内容とメールの回答が食い違えば、そこで一気に警戒されます。
防ぎ方はシンプルで、よく来る質問と回答をA4一枚にまとめて共有しておくことです。残業、休日、有給取得、配属、教育体制、昇給、離職状況。この七つくらいを押さえておけば、質問の大半はカバーできます。面接で聞かれる想定問答と共通する部分も多いので、面接で候補者から聞かれることに、答えを用意しているかとあわせて一つのメモにしてしまうのが早いでしょう。
このメモがあると、「担当者が休みでも誰かが一次返信を返せる」状態になります。質問対応が特定の一人に依存しているうちは、その人が現場に出ている日や休みの日に、返信が止まります。
応募後のやりとりは、一件ごとは数分の仕事です。ただ、その数分を当日中に確保できるかどうかで、候補者の温度は変わっていきます。社内で答えを揃え、一次返信を当日中に返し、期日を守る。仕組みとしては単純ですが、本業を抱えながら継続するのは簡単ではありません。
社外採用部では、応募の受付から初回連絡、日程調整、面接前後のフォローまでを、貴社の採用事務局としてお引き受けしています。質問への一次返信も、事前にすり合わせた回答範囲に沿って当日中にお返しし、判断が必要なものだけを御社にお戻しする形です。月額49,800円〜、初回設計費100,000円から。
「応募は来ているのに面接まで繋がらない」とお感じでしたら、まずは現状の流れを一度整理するところからご相談ください。ご相談はこちらからお問い合わせいただけます。
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