これまで人を増やすときは、社員の紹介や取引先からの口添えで足りてきた。面接らしい面接もせず、来てもらって話をして、翌週から来てもらう。そんな採り方を続けてきた会社が、はじめて求人媒体やハローワークに公募を出す。そういう場面のご相談をいただくことがあります。
紹介での採用は、実は多くの工程が省略されています。相手の連絡先は最初から分かっていて、人柄は紹介者が保証してくれて、入社日も「落ち着いたら」で通ります。公募はそうはいきません。見ず知らずの方から、会社の営業時間とは無関係のタイミングで連絡が届く。この違いを踏まえずに掲載ボタンを押すと、最初の一件でつまずきます。掲載前に決めておくべきことは、そう多くありません。
決めずに掲載すると、最初の一件で止まる
採用の現場でよく見かける詰まり方を、順に挙げてみます。
求人票に代表番号を載せたところ、電話を取った社員が求人のことを知らず「担当者は外出しております」とだけ答えて切ってしまった。折り返し先も聞いていない。──これは誰が電話を受けても起きます。誰が電話に出ても同じ対応にする。応募者からの着信の受け方でも触れていますが、社内に一言共有があるかどうかで結果が変わります。
応募通知のメールを社長個人のアドレスで受け取ったが、日中は現場に出ていて夜に開く。開いたときには応募から10時間が経っていた。
候補者に電話がつながり、「では面接の日程を」となったところで、社長の予定が分からない。「確認して折り返します」と言ったまま二日過ぎた。
面接は済んだが、採るかどうかを社長と工場長のどちらが決めるのかが曖昧で、社長の出張明けまで一週間待たせた。その間に他社で決まった。
面接で「いつから来ていただけますか」と聞かれたのに、会社側が入社日の目安を持っておらず、その場で答えられなかった。
いずれも、応募者の質や求人票の書き方の問題ではありません。社内で決まっていないことがあるために、連絡が止まっているだけです。しかも止まるのは、応募が来てから最初の数日という、最も候補者の熱量が高い時間帯です。
掲載前に決めておく5つのこと
紙一枚に書けます。所要時間は、関係者が揃っていれば30分ほどです。
| 決めること | 決めておく中身 | 決まっていないと起きること |
|---|---|---|
| ①応募の受け先 | 電話番号とメールアドレスを各1つ。誰の端末に届くか | 通知が個人の受信箱に埋もれる/電話が取り次がれない |
| ②一次対応の担当 | 初回連絡と日程調整をする人。不在時の代わりも | 「誰かがやるだろう」で放置される |
| ③面接できる曜日と時間 | 週の中で確実に空けられる枠を2〜3コマ | 候補日を出せず、調整が数日流れる |
| ④合否の決裁者 | 面接後に採否を決める人。同席者の扱い | 合否連絡が社長の予定待ちになる |
| ⑤入社日の目安 | 最短でいつから/遅くともいつまでに | 在職中の方への回答ができない |
①応募の受け先は、増やさないことが大切です。電話は1番号、メールは1つ。可能であれば個人アドレスではなく共有できるアドレスにして、複数人が見られる状態にします。番号を載せるなら、その番号を取りうる全員に「求人を出しています。応募の電話が来たら、お名前と折り返し可能な時間帯を聞いて、私に回してください」と伝えておいてください。
②一次対応の担当は、社長である必要はありません。むしろ日中に社内にいる方のほうが向いています。決めるのは、初回の電話をかける人、日程を調整する人、そしてその人が休みや外出のときに代わりに動く人です。
③面接できる曜日と時間は、応募が来てから探すと間に合いません。「火曜と木曜の16時から17時」のように先に枠を押さえておき、埋まらなければ解放する運用にします。詳しくは面接枠が取れない。現場が忙しい会社の面接枠の作り方で解説しています。
④合否の決裁者は、一人に絞るほど速くなります。現場の意見を聞きたい場合も、「現場責任者の所感を聞いたうえで社長が決める」「その日のうちに決める」といった手順まで決めておくと、判断が滞りにくくなります。
⑤入社日の目安は、候補者から必ず聞かれる項目です。在職中の方であれば、退職の申し出から実際に動けるまで1〜2ヶ月かかることも珍しくありません。「最短で来月1日から、遅くとも3ヶ月以内に来ていただければ」といった幅で持っておくと、面接の場で会話が前に進みます。
5つが決まると、初動はこう変わる
仮の数字で、応募が1件入ったときの流れを追ってみます。
10時、応募メールが共有アドレスに届く。通知に気づいた総務担当が10時15分に電話。つながらなければSMSで「ご応募ありがとうございます。○○社です。折り返しのご都合の良い時間をお教えください」と送る。11時に折り返しがあり、その場で「今週木曜16時か、来週火曜16時」と候補日を出す。木曜で確定。面接は社長と現場責任者が同席し、終わった時点で社長が採否を決める。翌日中に連絡し、入社日は「最短で来月1日」と伝えてある。
応募から面接確定までが当日中、面接から合否連絡までが翌日。特別なことは何もしていません。①〜⑤が決まっているだけです。逆に言えば、この5つのどれかが欠けると、どこかで一日、二日と待ち時間が発生します。初回連絡の速さがなぜここまで効くのかについては、応募後1時間以内の初回連絡が、採用の歩留まりを変える理由もあわせてご覧ください。
決めきれないときは、仮で置いて掲載する
「面接の曜日なんて、そのときにならないと分からない」「誰が決めるかは状況次第」というお気持ちは分かります。ただ、決めずに掲載すると、結局は応募が来てから同じ議論を、しかも時間に追われながらすることになります。
決めきれない項目は、仮で置いて構いません。面接枠は「とりあえず木曜の夕方」、決裁者は「原則は社長、不在時は工場長が一次面接まで進めてよい」。一度運用してみると、無理のある部分はすぐに分かります。分かった時点で直せばよく、はじめから完璧に設計する必要はありません。
初めての公募では、最初の1〜2件の応募対応で会社の型ができます。そこで止まらずに面接まで進められると、次からは同じ手順を繰り返すだけになります。
社外採用部は、応募の受付から初回連絡、日程調整、面接前後のフォロー、内定・入社のフォローまでを、貴社の採用事務局として代行するサービスです。月額49,800円〜、初回に設計費100,000円をいただき、上記の5点を含む応募後の流れを一緒に固めたうえで運用に入ります。求人広告の運用そのものは扱っていませんが、「掲載はできたが、応募が来たあと社内で誰がどう動くかが決まっていない」という段階のご相談を多くいただいています。
はじめての公募でつまずきたくない、という方はこちらからご相談ください。現状をうかがったうえで、御社の場合に何を決めておくべきかを整理してお返しします。
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