採用にかかわる外部の会社が、気づけば複数社になっていた。求人広告は代理店、スカウトは別の会社、応募後の対応は社内の総務、面接は社長。窓口が増えるたびに社内の確認作業も増えていき、「いっそ全部まとめて1社に任せたほうが楽なのでは」と考え始めた——そんな状態でこの記事にたどり着いた方が多いのではないかと思います。

一方で、丸ごと任せた結果「レポートは来るけれど採用は進まない」という話も耳にします。まとめるのが正解でも、分けるのが正解でもありません。判断を分けるのは、窓口の数・情報の分断・責任の所在・費用の見えやすさという4つの見え方です。本記事では、この4点で両者を並べたうえで、分ける場合に社内で決めておくべきことを整理します。

まとめる/分けるは、この4点で違いが出る

採用の外注先を考えるとき、多くの会社は「全部できます」と言う会社と「この工程が得意です」と言う会社の両方に会います。両者の違いは、価格表よりも運用が始まってからの4点に出やすいものです。

比較の観点1社にまとめる工程ごとに分ける
窓口の数1つ。社内の連絡コストは軽い複数。社内に取りまとめ役が要る
情報の分断起きにくい。ただし社内に情報が残りにくいことも起きやすい。応募者の状況が各社に散る
責任の所在一本化されるが「どの工程が原因か」は見えにくい工程ごとに明確。改善の打ち手を絞りやすい
費用の見えやすさ一式見積もりだと内訳が読みにくい工程ごとに単価が見える。ただし合計は膨らみやすい

表にすると、まとめる側の利点は「社内の手間の軽さ」、分ける側の利点は「原因の特定しやすさ」に集約されます。逆に言えば、いま社内に人手が足りないのか、どこで詰まっているのかが分からないのか。困りごとがどちらなのかで、選ぶ方向は変わってきます。

ちなみに「まとめる」と言っても、業界内でその範囲は統一されていません。求人広告の代理店が言う「採用をまるごと」は掲載と原稿までを指すことが多く、応募後の連絡は自社に残る、という線引きになっていることがあります。この点は求人広告の代理店に任せている会社が、それでも応募を逃す理由でも触れています。契約前に、工程を言葉で並べて「どこからどこまでか」を確認してください。

まとめたのに歩留まりが動かない、典型パターン

1社にまとめたのに採用の結果が変わらなかった、というケースには、いくつかの共通した形があります。

ひとつめは、応募を増やす工程だけが強化されたというパターンです。広告の出稿量やスカウト送信数は増え、応募数は上がる。けれども応募後の連絡は相変わらず社内の兼務担当が夜にまとめて返している。入口だけ広げても、面接までの道が細いままなら通る人数は変わりません。応募数と面接設定率のどちらが低いのかは、面接設定率という指標。応募からの歩留まりを測る第一歩の考え方で先に切り分けておくと、任せる工程の優先順位を間違えにくくなります。

ふたつめは、報告はあるが実務が動いていないパターンです。月次でレポートが届き、改善提案も添えられている。ただしその提案を実行するのは自社。助言と実務代行は別の商品なので、契約内容が前者だと「見える化は進んだが人は増えない」という状態になりやすいのです。

みっつめは、判断が必要な場面で毎回止まるパターンです。書類の可否、条件の相談、面接日の再調整。これらは外注先だけでは決められません。社内の決裁が遅れると、どれだけ広い範囲を任せても候補者を待たせる時間は変わらない。任せる範囲を広げる前に、社内の判断ラインを整えておく必要があります。

分けるなら、社内の誰が全体を見るかを先に決める

工程ごとに分ける設計は、うまく回れば費用対効果を測りやすく、弱い工程だけ差し替えられる柔軟さがあります。ただしひとつだけ条件があります。応募から入社までを通して見る人が、社内に一人いることです。

この役割がないと、こういうことが起きます。スカウト代行が返信を獲得しても、その情報が応募後の連絡担当に渡らない。面接日程は決まったのに、現場の面接官には共有されていない。辞退の理由は誰かが聞いているが、次の募集要件には反映されない。工程は動いているのに、工程と工程のあいだで人が落ちていく状態です。採用を「点」でなく「線」で見る考え方は採用は「点」ではなく「線」。応募から定着までを一本でつなぐでも整理しています。

全体を見る人がやることは、そう多くありません。

この3つを担える人が社内にいないなら、分ける設計は避けたほうが無難です。逆に、総務の責任者クラスが月に数時間この役割を持てるのであれば、分けるほうが費用も原因も見えやすくなります。

費用の見え方でも判断は変わる

費用の比較は、合計金額だけでは判断を誤りやすい部分です。一式でまとめた見積もりは総額が安く見えることがありますが、内訳が分からないと「効いていない工程」を止める判断ができません。一方で工程ごとに契約すると、単価は見えるものの各社に最低利用料が発生し、合計では高くつくこともあります。

仮の数字で考えてみます。たとえば、広告運用に月5万円、スカウト代行に月8万円、応募後対応に月6万円で合計19万円。ここで面接設定率が低いと分かれば、応募後対応を厚くして広告を一度絞る、といった配分変更ができます。これはそれぞれの費用が独立しているからできる判断です。一式19万円の契約では、同じ組み替えの相談が難しいことがあります。

当社の社外採用部は、求人・媒体・スカウトなど母集団形成の運用から、応募の受付・初回連絡・日程調整・面接前後のフォロー・内定と入社のフォローまで、面接以外の採用実務を担う採用事務局です。面接そのものと採否の判断は御社が行います。月額49,800円〜、初回設計費100,000円、以降は支援内容・工数に合わせて個別にお見積りする料金の形にしているのも、「応募後の対応にいくらかけているか」を分けて見られるようにするためです。入口の施策は、当社にお任せいただくことも、これまでの代理店や媒体をそのまま使いながら応募後の工程だけを当社に分けることもできます。契約条件の確認項目は採用外注の契約期間と解約条件。契約前に見ておく項目にまとめています。

判断の順番

迷ったときは、次の順で考えると整理しやすいはずです。

  1. いま詰まっているのは応募前か、応募後か。数字で確認する
  2. 詰まっている工程だけを、まず1つ外に出す
  3. 社内に全体を見る人を置けるなら、工程ごとの分業に広げる
  4. 置けないなら、範囲を広げるより社内の判断ラインを整えるほうを優先する

最初から全部をまとめようとすると、契約の範囲も金額も大きくなり、効果の検証が難しくなります。小さく分けて始め、効いた工程を残していくほうが、結果として採用体制は安定しやすいものです。

応募は来ているのに面接まで進まない、対応が遅れて辞退が続いている。そうした状態であれば、応募後の工程から切り出すのがひとつの手です。自社の状況を整理するところからでも構いませんので、お問い合わせよりお気軽にご相談ください。サービス責任者の佐々木がお話を伺います。