「不動産営業経験5年」と書かれた応募が届いて面接まで進んだものの、話してみると賃貸仲介のカウンター営業がほとんどで、自社が任せたい売買の反響営業とはまるで違った。あるいは逆に、宅建士の資格を持っていないことが面接の終盤で分かり、そこから条件の話をやり直すことになった。不動産業の採用支援に入っていると、こうした「前提のずれ」に起因する空振りの面接をよく見かけます。
不動産営業という言葉は、実際にはいくつもの異なる仕事をまとめた総称です。応募者も自分の経験を「不動産営業」としか書きようがない。だからこそ、応募が来たあとの最初の連絡で、どこまで前提を揃えられるかが面接の中身を左右します。この記事では、初回連絡で押さえたい確認項目、土日が営業日という業界事情に合わせた面接枠の取り方、そして歩合を含む収入の説明をどこまで前倒しするかを整理します。
「不動産営業」の中にある、まったく別の仕事
同じ営業職でも、扱う商材と売り方が変わると、経験の移植可能性はかなり変わります。応募書類を読む前に、自社の募集がどこに位置するのかを言葉にしておくと、確認すべき項目が見えてきます。
- 取引の種類:賃貸仲介/売買仲介/賃貸管理/新築分譲/投資用・事業用
- 集客の方法:ポータルサイトや自社サイトからの反響対応中心か、飛び込み・テレアポ・ポスティングなどの新規開拓が含まれるか
- 顧客の層:一般個人の住み替えか、投資家や法人か、オーナー向けか
- 商圏と移動:来店型でほぼ店舗内か、内見同行で社用車を使うか
賃貸仲介で来店客を接客してきた方と、売買で自ら顧客を開拓してきた方では、日々の動き方も成約までの期間も違います。どちらが優れているという話ではなく、自社で活躍してもらえるかどうかの見立てが変わるということです。ここを面接の冒頭で確認していると、30分の面接のうち10分が前提の共有で消えてしまいます。
初回連絡で押さえる、4つの確認項目
応募当日の電話、またはつながらないときのSMS・メールで、次の4点を聞いておくと、面接の質が変わります。長々と質問するのではなく、面接日程を決める会話のなかに自然に混ぜるのが現実的です。
| 確認項目 | 聞き方の例 | 判断に使えること |
|---|---|---|
| 宅地建物取引士 | 「宅建はお持ちですか。登録まで済んでいますか」 | 未取得・試験合格のみ・登録済み・取引士証交付済みで扱いが変わる |
| 経験した取引領域 | 「これまでは賃貸と売買、どちらが中心でしたか」 | 自社の募集職種との距離が分かる |
| 営業スタイル | 「反響へのご対応が中心でしたか、新規開拓もされていましたか」 | 入社後の負荷イメージのずれを防げる |
| 勤務条件 | 「土日の勤務は可能ですか。普通自動車免許はお持ちですか」 | 内見同行や店舗シフトが組めるかを確認できる |
宅建については、「持っている・持っていない」の二択で聞くと実態がつかめないことがあります。試験に合格しただけの段階、登録実務講習を終えて登録まで済ませた段階、取引士証の交付を受けている段階では、入社後にできることが異なります。事務所ごとに一定割合の専任の宅地建物取引士を置く必要があることは宅地建物取引業法で定められており、この人数要件に関わる採用なら、どの段階にあるかは面接前に把握しておきたいところです(要件の詳細は管轄の行政庁にご確認ください)。
未取得の方を採らない、という意味ではありません。受験予定の有無や、資格取得支援の制度をこちらから伝えられるかどうかで、候補者の反応は変わります。聞く目的は選別ではなく、面接で何を話すかを決めるためだと考えてください。この初回の会話の組み立て方は、電話で面接日程を決める。最初の3分の会話台本も参考になります。
土日が営業日の業界で、面接枠をどう作るか
不動産業は土日が最も忙しく、平日に定休日を置く会社が多い業種です。ここで面接枠の設計が難しくなります。
在職中の同業他社の方は、勤務先の定休日が火曜・水曜であることが多く、平日の日中に動けます。一方、他業種から不動産営業に挑戦したい方や離職中でない方は、平日夜か土日でないと動けません。つまり、候補者の出どころによって、押さえるべき枠がまったく違うということです。
次のように枠を分けて仮押さえしておく方法があります。
- 同業からの転職者向け:火曜・水曜の日中に週1〜2枠。自社の営業は動いているので、面接官の予定を先に押さえておく
- 異業種・未経験者向け:平日の夕方以降に週1枠、または土日の来店ピークを外した時間帯(開店直後や夕方)に1枠
- 遠方・在職で時間が取りにくい方向け:オンラインでの一次面談を30分枠で用意しておく
応募が来てから面接官の空きを探すと、候補日の提示が2〜3日遅れます。その間に他社で話が進んでしまうのは、動きの速い不動産業界では珍しくありません。枠の押さえ方そのものは面接枠が取れない。現場が忙しい会社の面接枠の作り方で詳しく扱っていますので、あわせてご覧ください。
歩合を含む収入は、面接前にどこまで出すか
不動産営業の応募者が最も気にするのは、ほぼ例外なく収入の仕組みです。固定給と歩合の比率、歩合の算出根拠、支給のタイミング。ここが曖昧なまま面接に進むと、面接の場で条件確認に時間を取られるか、あるいは入社後に「聞いていた話と違う」となります。
かといって、初回連絡ですべてを説明する必要はありません。面接前に伝えておきたいのは、次の3点に絞れます。
- 固定給の額と、歩合が上乗せである旨(歩合が固定給に含まれるのか別枠なのかは誤解が生まれやすい部分です)
- 歩合の計算のおおよその考え方(仲介手数料の何割か、粗利の何割か、といった枠組みだけ)
- モデルケースを示す場合は、必ず前提条件を添える
3つ目が特に重要です。たとえば「月に売買を1件成約した場合、歩合はおよそ◯万円」といった仮の数字を示すなら、それが誰にでも起きる標準なのか、上位者の例なのかを必ず明記してください。求人票の「年収例800万円」だけが一人歩きすると、面接でその数字の根拠を問われ、説明が食い違った時点で信頼が崩れます。条件の説明がずれることのリスクは求人票と面接での説明がずれると、辞退されるでも整理しています。
支給タイミング(成約月か、決済・引渡し月か)も、実は候補者が知りたい項目です。同業経験者ほどここを見ています。面接前のメールで一行添えておくだけで、面接の会話は前に進みやすくなります。
前提を揃える作業を、誰が担うか
ここまでの確認は、どれも特別な採用知識を要するものではありません。ただ、応募があったその日に電話をかけ、つながらなければ時間を変えて追い、面接候補日を提示し、面接前に条件のメールを送る——この一連の動きを、店長や営業部長が接客の合間に続けるのは現実的に難しいものです。土日に届いた応募が月曜の夕方まで止まる、という状態になりがちです。
社外採用部は、この応募後の受付・初回連絡・日程調整・面接前後のフォローを、御社の採用事務局として代行するサービスです。宅建の保有状況や経験領域といった確認項目は、初回設計の段階で御社と一緒に決め、そのままヒアリングの型として運用します。集まった情報を整理したうえで面接にお渡しするので、面接の時間を見極めと動機づけに使えます。料金は月額49,800円から(初回設計費100,000円、以降は支援内容・工数に合わせて個別にお見積り)。責任者は佐々木純平代表です。
応募は来ているのに面接まで繋がらない、前提のずれた面接が続いている。そうした状況でしたら、まずは現状をお聞かせください。ご相談はこちらから承っています。
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