求人サイトから応募通知が届いたのが昼の12時。気づいたのは夜9時、最後のお客様を見送ったあとで、さすがにこの時間に電話はできない。翌日かけたら留守番電話。相手も営業中で出られない。そうこうしているうちに三日が過ぎ、折り返しがあったときには「他のサロンに決まりました」――美容室やアイリストサロンの採用では、この流れが繰り返されやすいものです。
美容師の転職活動は、在職しながら複数サロンを同時に見て回るのが一般的です。しかも選考の実質的な山場は面接ではなく、見学と体験入店にあります。つまり「面接日を押さえる」ことより「サロンに足を運んでもらう日を早く決める」ことが勝負になります。この記事では、応募が届いてから見学・体験入店にたどり着くまでの段取りを、サロンの一日の流れに沿って整理します。
電話がつながる時間帯は、サロンの一日から逆算できる
美容師の応募者も、同じように接客中です。ということは、お互いに手が空く時間帯はある程度予測できます。自店の営業パターンに当てはめて、連絡を試みる時間帯をあらかじめ決めておくと、折り返しの往復回数が減ります。
| 時間帯 | 応募者側の状況(目安) | こちらの動き |
|---|---|---|
| 開店前(9〜10時台) | 出勤前・朝礼前で電話に出やすい | 前夜〜早朝に届いた応募への一次架電 |
| 昼過ぎ(14〜15時台) | 遅番出勤前、または昼休憩 | 午前に届いた応募への架電 |
| 閉店後(20〜21時台) | 片付け・練習中で応答率は下がる | 電話ではなくSMSやメールで文面を残す |
| 定休日(多くは月・火) | 終日連絡がつきやすい | 見学日程の相談、体験入店の条件すり合わせ |
ポイントは、電話がつながらなかったときに「かけ直します」で終わらせないことです。留守電に残すだけでなく、同じ内容をSMSやメールでも送り、こちらが電話に出られる時間帯を明示しておきます。「本日18時以降と、明日の10時〜11時でしたらすぐ出られます」と書いておくと、相手は自分の空き時間と照らして折り返しやすくなります。連絡手段の順番については応募者に電話がつながらない。SMS・メールを組み合わせた連絡の順番もあわせてご覧ください。
なお、応募が届く時間帯そのものが夜と休日に偏るのは、美容業界に限った話ではありません。応募は夜と土日に来る。営業時間外の応募をどう受けるかで、営業時間外に届いた応募をその日のうちに受け止める型を扱っています。
見学と体験入店は、最初の連絡で「日付」まで出す
美容師の応募者が知りたいのは、条件よりも先に「どんなスタッフが、どんな空気で働いているか」です。求人票の文字では判断できないので、見学に行って決めます。だからこそ、初回の連絡で見学の日付まで出せるサロンは有利になりやすいのです。
おすすめは、面接・見学・体験入店を別々の予定にしないことです。仮に3回に分けると、そのたびに日程調整が発生し、在職中の応募者は休みを3日使うことになります。現実的には最後まで残りません。
- 1回目:見学+面接(60〜90分)。営業中の店内を見てもらい、そのまま個室かバックヤードで面談
- 2回目:体験入店(半日〜1日)。実際の施術やアシスタント業務に入ってもらう
この2ステップに絞り、1回目の案内を初回連絡でそのまま出します。「今週の◯日15時、来週◯日11時のどちらかでいかがでしょうか。営業中の店内をご覧いただきながら、30分ほどお話しできればと思います」。候補日は3つ以内、うち1つは直近に置きます。
体験入店については、初回の段階で「実施する場合の条件」も伝えておくと安心されます。所要時間、報酬の有無、当日の服装や持ち物、どこまでお客様に入るのか。ここが曖昧なまま当日を迎えると、認識のずれが辞退につながります。面接日を押さえたあとの空白期間に何を伝えるかは、「とりあえず面接に来てもらう」が失敗するとき。面接前フォローの意味で詳しく整理しています。
スタイリストとアシスタントで、聞くことを変える
同じ「美容師の応募」でも、スタイリストとアシスタントでは検討していることがまったく違います。連絡の内容を分けておくと、初回の会話の密度が変わります。
| スタイリスト | アシスタント・新人 | |
|---|---|---|
| 応募者の関心 | 客単価・歩合の設計、指名客を連れて行けるか、集客の仕組み | 練習環境、デビューまでの期間、教えてくれる先輩がいるか |
| 初回で確認したいこと | 現在の指名客数の目安、入社可能時期、退職の申し出状況 | 現在の在籍年数、シャンプー・カラーなどの習得段階、通学・国家試験の有無 |
| 早めに伝えたいこと | 歩合の考え方、既存顧客への案内可否、面貸し・時短の可否 | 練習時間の扱い、デビューまでの流れ、営業後の拘束の実態 |
スタイリストに聞きにくいのが「指名客」の話です。引き抜きと受け取られないよう、聞き方には配慮が要ります。「前のお店のお客様に連絡を取るかどうかは、ご本人と前職さんの取り決め次第かと思いますので、こちらから何かをお願いすることはありません。ただ、入店後の売上の見通しを一緒に考えたいので、月にどのくらい指名で入られているかだけ、差し支えなければ教えていただけますか」。目的を先に言うと、答えやすくなります。
入社可能時期も、初回で必ず確認してください。美容室の退職は、担当客の引き継ぎやシーズンの区切りの都合で1〜3ヶ月先になることが珍しくありません。「すぐ来てほしい」と急かすより、その期間を前提に連絡を切らさない設計に切り替えるほうが、結果的につながりやすくなります。
「決まりました」の一言を、二度と聞かないために
美容室の採用が難しいのは、サロンワークと採用業務の時間帯がほぼ完全に重なっている点にあります。手が空いたら対応する、という前提で組んでいる限り、初回連絡は翌日以降にずれ込みます。オーナーが現場に立つ小規模サロンほど、この構造から抜けにくいものです。
対処は二つの方向があります。ひとつは、店内で役割を分ける方法です。応募通知の受け取りとSMSでの一次返信をレセプションや事務担当に任せ、オーナーは見学当日の面談と判断に集中する。もうひとつは、応募受付から見学日程の確定までを店の外に置く方法です。どちらを選ぶにせよ、「誰が、いつ、何分以内に最初の連絡を入れるか」を決めておくことが起点になります。どのくらいの応募が面接まで進んでいるかを把握する方法は、面接設定率という指標。応募からの歩留まりを測る第一歩を参考にしてください。
社外採用部は、応募の受付・初回連絡・日程調整・見学前後のフォロー・入社までの連絡を、サロンに代わって担う採用事務局です。月額49,800円〜(初回設計費100,000円、以降は支援内容・工数に合わせて個別にお見積り)で、まずは応募が来たその日に一次連絡が届く状態をつくります。求人・媒体・スカウトなど母集団形成の運用も含め、面接以外の採用実務をお引き受けします。面接そのものと採否の判断はサロン側で行っていただきます。
サロンの営業時間や定休日、見学で見せたい時間帯をうかがったうえで、連絡の型をご一緒に設計します。「応募は来ているのに、見学まで進まない」と感じていらっしゃる方は、お問い合わせからお気軽にご相談ください。サービス責任者の佐々木純平が、現在の応募対応の流れをうかがったうえで、どこから手を付けるべきかをお伝えします。
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